スティーブモーターサイクルサプライ : ドゥカティのシム調整【4バルブ編】
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ドゥカティのシム調整【4バルブ編】

ドゥカティエンジン特徴であるデスモドローミックの特徴をフルに活かすためのメンテナンス

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ドゥカティに乗っていると、
「デスモが」とか「シム調整が」
という言葉を必ず聞くことになります。
上の写真は、デスモドローミックと呼ばれるバルブ開閉機構を持つ
ドゥカティエンジンのバルブとそれを開閉させるロッカーアームです。
 
これらの部品だけ見ても、どこがどう動くのか?というのはイメージ
しにくいかも知れません。
 
こちらのサイト(リンク)に動画付きで説明されているのでご参照下さい。
 
 

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デスモの構成部品。ポイントとなる「シム」は右下の丸いパーツです。
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左からクローズシム、100円玉、ハーフリング、オープンシム。この非常に小さいパーツです。

アイドリング時だろうが全開時だろうが、エンジンがかかっている状態ではバルブは
常に開閉動作を行っています。
3,000回転だと1分間に1,500回。1時間走れば90,000回という気の遠くなるペースで
開閉されているわけですが、そのうちに少しずつバルブの位置が変わって来て、
ロッカーアームとバルブシムの隙間が空いたり、逆に隙間がなくなったりして
しまい、適正なタイミングで開閉されなくなるだけでなく、最悪の場合は
バルブがしっかり閉じなくなってしまう場合もあります。
 
そこで定期的にヘッドをバラして、ロッカーアームとシムの隙間を適正値に
戻してあげる必要があるというわけです。
 
そして、このロッカーアームとシムの隙間の調整はオープン/クローズシムを
厚みの違うものに交換しながら行います。
メーカー推奨値の範囲で合わせれば良いのですが、これもまたオーナーさんの
乗り方や用途に合わせ、その範囲内のどこで合わせるか?ということも重要で、
経験がモノを言う部分です。
 
もちろん、目測は無理ですので、ロッカーアームとシムの間に
紙よりも薄い薄いゲージを差し込んで隙間を測り、1/100ミリ単位で
微妙に違う厚みのシムをチョイスして取付け、
また隙間を測り…という作業を繰り返します。
 

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この部分の隙間です、もちろん目測できません。写真撮影用のモデルですので、クローズ側の隙間が大きいのですが、実際はほとんど密着しているように見えます。
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シムの間に挟まれているのがハーフリング、このハーフリングによってクローズシムがバルブを持ち上げることができるのです。このハーフリングも曲者で、メンテを怠ったり、エンジンを回し過ぎたりするとこのハーフリングが粉砕してバルブがエンジンの中に…怖いですね〜。超重要パーツです。
このハーフリングも以前は精度が低くてバリが残っていたりしていましたので、削って測って…ってやってしました。
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こちらはオープン側のロッカーアームですが、カムシャフトが当たる部分のメッキが剥がれているのがお解りいただけると思います。このままではカムシャフトにまでダメージが及びますので新品交換です。
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このロッカーアームのダメージは日頃のオイル管理によって大きく変わって来ます。いくら頻繁に交換しているといっても、そのオイルの品質が良くなければ意味がありません。良いオイルを定期的に交換することでエンジンのコンディションを良く保つことができます。
「オイル管理をしっかりしろ」と言われる所以はこういうところにもあるわけですね。
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ちなみに今回のモデルは748SP、写真はカムシャフトを抜いた状態です。
ドゥカティのエンジンは基本的に頑丈ですのでヘッドのメンテを行っていれば、
クランクまで割って…といったヘヴィなオーバーホールは余程のことが無い限り
必要ないと考えています。
 
メンテを終えてお引き取りにいらっしゃったオーナーさんは一様に「アイドリングから違う」と
おっしゃいます。1/100ミリ単位の狂いで大きな影響を受けるエンジン、
毎回乗っているオーナーさんだと性能の低下に気づき難いのは仕方がありません。
(久しぶりに会う人には太ったことがすぐバレるのと同じです・笑) 
 
 
定期的なヘッドメンテナンスは長く楽しむため、愛車に惚れ直す為にも是非行って頂きたい項目です。
 

 
シム調整に関するお問い合わせは→コチラ
お電話:092-954-0013

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